Q:住まいの売却をお願いした不動産会社は、どのような販売活動をしてくれるのですか?
住まいを売却する際、不動産会社が提示してくる査定金額は大事です。同様に、預けた住まいを契約した不動産会社がどのように販売するのかも重要です。しかし、その実態はなかなか見えづらいもの。そこで、知っておきたい不動産会社の販売活動の中身を解き明かしていきましょう。今回はインターネットでの活動に対するリアルの場、実践での「アナログ活動」について説明します。
その4 アナログ活動(地元業者・ハウスメーカー回り)
アナログ活動とは、地元の不動産会社やハウスメーカーに対する広告活動のことです。レインズに掲載した物件の図面を持って、「今度、専任でこういう物件を預かったので、お客様がいたら紹介してください」と、一軒一軒回ります。同業他社には図面をファックスで送るものですが、近隣の会社にはできるだけ自分の足で届けます。実は、これがけっこう大事な活動なんです。
「レインズに掲載すれば、不動産会社は皆チェックしてくれるだろう」と思いがちですが、実際のところ、忙しかったり、タイミングが合わなかったりすることもあり、見逃すことも少なくありません。最近はお客様が良い物件が出るのを待っている状況が続いています。慢性的に物件が足りないなか、物件の情報を確実に届けることで、成約の確率が飛躍的にアップするわけです。
また、ハウスメーカーを回ることにも大きなチャンスがあります。ヘーベルハウスやタマホーム、大和ハウスなどのハウスメーカーは「土地なし客」を抱えています。土地なし客とは、どのハウスメーカーでどんな家を建てるのかは決まっているけれど、土地がまだ見つかっていない、というお客様のこと。そういう人がたくさんいるんです。
そこで、専任媒介で古い家が建っている土地(「古屋付き土地」と言います)を預かったときは、物件の図面をたくさんコピーして、ハウスメーカーが集まる住宅展示場に足を運び、各ハウスメーカーを一軒一軒回ります。すると「この土地ならウチのお客様の間取りが入るね」と、買主様が見つかってしまうことも少なくありません。
一戸建てが欲しい人の家探しは、大きく2つのパターンがあります。建売住宅や中古物件を探す場合と、注文住宅で建てたい家が決まっていて、土地を探す場合です。ハウスメーカーの営業マンは「おたくで建てたい」と言ってくれているお客様を抱えていますが、不動産業者ではないため、土地などの物件情報は持っていません。そのため、まだレインズに掲載する前の古家付き土地の情報は皆、喜びます。良い場所なら間違いなく引き合いがあり、条件が合えば早期に決着することが多くなります。
ちなみに、中古マンションの場合はリノベーション業者を回ります。近年、中古マンションのリノベーション市場は活況を呈しており、戸建ての土地なし客と同様に、物件が出るのを待っているお客様がたくさんいるからです。