隣の家との境界がわかりません

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Q:隣地との境界がわかりません。売却に支障はありますか?

土地付きの一戸建てを売却する場合、正確な土地の面積が求められます。売却価格の決定に際して必要不可欠な要素だからです。実際の面積を決めるためには、隣地との境界の確定と測量が必要になります。

隣地との境界を示すものとは

隣地との境界はとても大事なことであり、実は一番もめるところでもあります。隣地との境界点(四角形の土地なら四隅など)には、境界標と呼ばれる標識が付いています。境界標は、御影石やコンクリート、金属やプラスチックでできた杭やプレートで、頭部に境界を示す十字や矢印が刻まれているものです。

この境界標、杭なら長いこと残っているものも多いのですが、プレートでは長年の雨風などに耐えきれず、10年20年経つとなくなっているものがほとんど。残っているほうが不思議なくらいです。

土地の境界が不明な場合、隣地とのトラブルが起こりやすくなります。特に、都市部の住宅地では注意が必要です。塀がなく、境界標が見当たらない土地は測量を実施して境界を明らかにしておきます。

売買の実務では、境界が不明な土地の場合、登記簿上に記載された面積である「地積」をもとに売買価格を決め、販売活動に着手するケースがほとんどです。そして、買主様が見つかったら引き渡しまでに確定測量を実施。境界標をきちんと設置し、境界を明らかにした後、引き渡しを実施します。

市街地や閑静な住宅街の土地は評価が高くなるため、登記簿上の面積と実際の面積の差が資産価値に大きく関わってくる可能性があります。そのため正確な面積の確認は不可避と言えます。

測量の結果、当初の売買価格と差異が生じた場合については、あらかじめ特約で定めておきます。また、住宅ローンなど、土地に抵当権を設定する場合にも確定測量が必要になります。

測量の費用は売主様負担に

確定測量の費用は売主様の負担となります。隣地との境界点が多い複雑な形をした土地や、複数の人が持分を有している私道に接している土地などの場合、手間と時間がかかります。

それぞれの権利者に立ち会ってもらうことに加え、印鑑証明を添付して、印鑑をもらうケースなどもあるため、日程調整や図面作成の時間も含めると、少なくとも1カ月、多いときには3〜4カ月かかることも珍しくありません。境界確認書面や測量図面の作製に登録費用などを加えると、費用はかなり高額になることも。まずは見積もりを依頼したほうがいいでしょう。

確定測量の流れは以下の通りです。
まず、土地家屋調査士に依頼→土地の権利書や固定資産税など関係書類を揃える→土地家屋調査士が調査を開始→官民を含む隣地所有者と境界立ち会いを実施して同意を得る→確定測量を実施し詳細な図面を作製→境界確認書を作成→登記を申請する。

土地の境界を確定させて正確な面積を知ることは、資産価値につながるとともに、隣地権利者とのトラブルを回避する重要なポイントと言えるでしょう。測量には費用と時間がかかりますが、売主様、買主様それぞれにとって大きなメリットがあります。

また、近年分譲された住宅地などの場合、正確な地積測量図を法務局が備えていることもあります。土地面積が確定していれば測量は不要になるケースもありますから、まずは信頼できる不動産会社に確認することをおすすめします。