Q:売却する住まいの設備が壊れている場合、どうしたら良いですか?
住み慣れた我が家も、売却することを決めて見回してみると、あちらこちらに傷みや汚れが目につくように……。このままで売れるものなのか、それともきちんと直してから売りに出すべきなのか、悩ましいところです。
買主様が納得すれば壊れたままでOK
中古住宅の売買は基本的に「現在あるがままの状態」で大丈夫です。ちなみに、「現在あるがままの状態」のことを不動産業界では「現況有姿」あるいは「現状有姿」と言います。「現在の状態のまま渡します」ということですね。
とはいえ、それも程度問題。たとえば、「水道の蛇口のパッキンが摩耗していて、水がポタポタ垂れてしまう」、この程度ならそのままで引き渡しても問題ないでしょう。この場合、付帯設備表に「蛇口が少し緩んでおり、パッキンの交換が必要」といった1文を入れて、買主様も納得の上で売買契約を締結します。
一方、当たり前に使えなければ生活に支障をきたすものがあります。トイレやガス給湯器がそれです。お風呂の保温ができなかったり、追い焚き機能が壊れているケースは意外にありますが不便なもの。トイレが壊れていたら直すのは言うまでもありません。
普通に生活するために使うものが使えない場合、それは当然、直す必要があります。しかし、中古住宅の場合、生活に大きな支障がないような、ちょっとした不具合は何カ所かあるもの。それらは基本的には直さず、現状のままでいいでしょう。
ただし、前述のように、不具合をきちんと明記するのはもちろん、買主様に事前に話を通しておくことも欠かせません。不具合がわかっていたのに、それを伝えないまま売買を進めることはできないからです。
不動産業者は、住まいをお預かりした段階で売主様に建物の状態についてヒアリングを行います。「ここ、ちょっと壁に穴が開いちゃってます」など、些細なことも含めて全部お伺いし、それを内見に来た人に伝えるとともに、書面にも記載します。
早期売却を目指して修理や清掃を提案することも
「基本的に『現在あるがままの状態』で大丈夫」とお伝えしましたが、「そうは言っても、少しは修繕しておかないと内見の時、見栄えが悪いのでは?」と考える売主様も多いようです。たしかに、きれいな住まいのほうが買主様の印象は良いに決まっています。
内見などに備えて住まいをきれいにするのはケースバイケースです。汚れがどうしても気になるようなら、ハウスクリーニングを施す手があります。予算は10万円ほどで、住まいの汚れや水回り、曇ってしまった鏡などもきれいになり、見栄えが良くなります。
きれいにするためにお金をかける、かけないは売主様の判断に委ねるしかありません。売主様が「お金をかけたくない」と言うなら、そのままで売れるように不動産業者は努力します。ただし、あまりにもひどい状態で、少しでもきれいにした方が早く売れると判断した場合、提案やアドバイスをする場合もあります。
不動産業者にすべておまかせで「私はなにもやりません」という売主様も少なくありません。しかし、売主様にも多少は努力と協力はしてほしいのが正直なところです。不動産業者と一緒になって一生懸命協力してくれる売主様なら、きっと良い不動産売却が実現できると思います。
さて、まとめです。戸棚の取っ手が外れている、キッチンの棚の1カ所がきちんと閉まらないなど、よくあるちょっとした不具合なら、いちいち直す必要はありません。内装などの汚れも程度問題です。一方、生活の中で常に使うものが壊れている場合は直してから売り出したほうがいいでしょう。
食器洗い機など、“あれば便利だけど、なくても生活に支障がない”設備の故障に関しては、買主様との話し合いで決めていきます。故障を伝えた上で「直さなくてもOK」と買主様が言ってくれれば、現況のままで大丈夫です。