Q:売却時に価格交渉があった場合、どうすればいい?③
不動産を売るとき、販売価格は決まっているけれど、その後、購入希望者様(買主様)のほうから価格交渉が入るケースがあります。ほとんどの場合、売主様が提示した販売価格に対して、「〇〇万円にまけてください」と指値=価格交渉を入れた金額で言ってきます。そのような場合、売主側としてはどう対処するべきなのでしょうか。
売り出し開始から3カ月以上が経過した場合
「買主候補を物件に案内するところまではいったものの、具体的な交渉に至らなかった」「契約が成立しそうだったが、買主候補のローン審査が通らなかった」など、さまざまな事情によって売り出し開始から3カ月が経過してしまったケースです。専任媒介契約が次の3カ月に入り、ほどなく半年を迎えて、また更新を重ねて1年があっという間に経過してしまいます。
実は、売り出し開始から3カ月を迎えてしまい、専任媒介契約を更新するケースはそれほど多くありません。物件がなかなか売れなければ、専任媒介契約を結んだ不動産会社は売主様からいろいろと文句を言われるのは明らか。そのため、3カ月以内で売却できそうな金額で売り出すのがほとんどだからです。
では、3カ月の契約期間内で売れないケースが出てくるのはなぜか。そこには、売れない理由があります。一番多いのは、販売価格が高すぎること。3カ月では売れない価格で売り出しているからです。このほかの理由としては、物件や条件に“難”や“癖”があることなどが挙げられます。
売れない状態のまま、ただ単に専任媒介契約を更新しても事態が好転する保証はありません。売り出し条件を見直さなければ、4カ月、5カ月と時間ばかりが過ぎ、あっという間に半年を迎えてしまいます。その間もずっとインターネット上には物件情報が掲載され続けていますから、だんだんと“売れ残り感”が出てくるのは避けられません。
値下げや価格交渉には柔軟に応じる
“売れ残り感”が出てきてしまったときの打開策は、ズバリ、販売価格を下げることです。3カ月以上経っても同じ価格で頑張っていては、売れるものも売れなくなってしまいます。もしかして、なにかのタイミングで売れることがあるかもしれませんが、売れる確率はどんどん低下しているのは事実です。
不動産会社からは「販売価格を100万円下げましょう」など、具体的な提案があるはず。あるいは、「200万円下げてくれるなら考えたい、というお客様がいらっしゃるんですが・・・」など、価格に絡めた提案があるかもしれません。この時期の値下げ提案や価格交渉には、ひとまず応じてみるべきだと思います。
値下げや価格交渉に頑なに応じないままでは、繰り返しになりますが、売れるものも売れなくなってしまいます。そのまま、なんとなく半年、1年と経ってしまうと、不動産会社はその状態に慣れてしまいますし、売主様も売却に嫌気がさしてしまうものです。
「興味がある」という話が来たら、常識外れな価格交渉でなければ、ひとまずは話し合いの席についたほうがいいでしょう。売主様としては、どうしても譲りたくない条件があるかもしれません。しかし、売るために売り出したわけですから、売主様ご自身のためにも、基本的には前向きな方向で譲歩したほうがいいタイミングと言えます。
結局のところ、売却は値付けがすべてです。最初の値付けを間違えると、結果的に「すごく損した」というくらい安くなってしまうケースもあります。売主様に言われるがまま高い販売価格を設定してしまい、売れずに長期戦に突入。売れ残り感が出てしまったせいで価格を下げても売れなくなってしまった、などということも珍しくありません。
適正価格の査定をもとに、3カ月以内で売れる販売価格で売り出すのが一番大事です。相場よりかけ離れた価格で売り出して、結果的に損をするのは売主様。大切な財産ですが、欲張り過ぎず、不動産会社の言うことを信用することも大事になります。言い換えれば、本当に信頼できる不動産会社と出会うことが、不動産売却成功の秘訣と言えるでしょう。